里親譲渡仲介のお手伝いでした。

「3〜4ヶ月の子猫にご飯を毎日あげている。2万円で引き取ってくれるNPOがあったから捕獲してほしい」

という内容が依頼主からの一番初めのお電話でした。

もちろんお断りしました。

「どこかに持っていくから捕獲だけしてほしい」

というご依頼は猫命の安全が保証されないので、全てお断りしています。

TNRのご依頼の場合は、活動歴をよく知っているボランティアさんでない限り、捕獲場所に放すところまでお手伝いさせていただきます。

保護のための捕獲のご依頼の場合は、保護飼育されるお部屋やケージまで、ねこから目線。で猫さんをお届けさせていただき、飼育環境が整っていることを確認させてもらうことが最低条件です。

・シェルターの場所は秘密。

・数万円支払って猫を引き渡したら二度と面会できないし、安否確認の連絡もお断り。

心配だと思わないんでしょうか?

「でもNPOらしいから、ボランティア団体らしいから、ちゃんとしてるハズでしょ?」

いいえ、残念ながらそんなことは全くありません。

最近では

動物愛護団体に引き渡した猫が消息不明になっている事が分かり裁判になったケースもあります。

NPO法人や保護団体のシェルターがひどいネグレクト状態になっていることが発覚して、大問題になったケース、まだ大問題にはなっていないけど、危ないと噂されている団体は数え切れないほどあります。

動物愛護の気持ちが当初はあったとしても、成猫や人慣れしていない子猫をきちんと保護して里親さんを見つけるというのは人にとっても猫にとってもしんどく大変な作業です。

そこを理解し、保護飼育と人慣れ修行を依頼主さん自身が頑張る覚悟をお持ちの方の場合は全力で里親探しのお手伝いをします。

・・・

そうお話して、捕獲のご依頼をお断りした数日後またお電話がありました。

「Twitterで里親になってくれる人が見つかって、今会って話している。里親譲渡の手順も必要な医療も分からないので、仲介サポートをしてほしい」

というご依頼でした。

里親希望者さんにもお電話を代わっていただき、生後4ヶ月で触れない人慣れレベルの猫さんなので、里親になったとしても猫と触れ合ったり癒されたりという楽しい猫ライフはすぐには訪れませんが、それでも大丈夫ですか?

と確認をし、それでも子猫を保護して里親になりたいという意思を確認できたのでお手伝いさせていただくことになりました。

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里親さん、依頼主さん、ねこから目線。の3者でLINEグループを作ります。

まずは里親さんに必要な飼育セットを購入準備していただき、飼育セットが準備できた時点で依頼主さんと捕獲作戦に入ります。

捕獲日初日は残念ながらターゲットの猫さんが現れなかったため、依頼主さんに捕獲器の使い方やコツをお伝えし後日トライしていただくことにしました。

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捕獲作戦から3日目、依頼主さんが無事保護に成功しました!

翌日に避妊手術と初期医療を受けるために動物病院に搬入するので、ひとまず深夜に猫さんを受け取りに行きました。

チラッと猫さんを見ると、

こ、子猫?

小柄ではありますが少なめに見ても6ヶ月にはなっていそうなサイズでした。

毛並みと顔つき的には1歳は超えていそうです…

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一犬猫病院さんに搬入し、手術と検便、血液検査、ワクチン、ノミダニ駆除、爪切りを実施してもらいました。また、どうしても室内に馴染めない場合や、威嚇具合に里親さんが挫折した場合に、元々住んでいた場所にTNRするという選択肢も残しておけるよう、耳カットもお願いしました。

可愛い猫さんです。体重は2.3kgしかなく、とっても小柄でしたが、推定年齢は2〜3歳でした。エイズ白血病はどちらも陰性。検便でも虫は見られませんでした。

諸々をグループLINEで報告します。

子猫では全くありませんでしたが、それでも家族として迎えたいという里親さんの意思を確認できたので、手術を終えた猫さんを里親さん宅にお届けに行きました。

お家には立派な三段ケージを用意してくださっていました。

猫さんが室内に慣れて、心を許してくれるまでだいぶ時間がかかると思います。焦らず気長に待ってあげてください。と話すと

「猫を飼って癒されたいというより、Twitterでこの子を見た時に、家で保護して守ってあげたい。夫婦でそう強く思ったんです。だから長く時間がかかってもいいんです。いつかこの子がここを家だと思って、私たちを家族だと思ってくれたら嬉しいです。」

と話してくださいました。

なんて、素敵な里親さんでしょうか。

依頼主さんが諦めずに発信し続けた成果でもあります。

Twitterで写真を見た時に「しじみちゃん」という名前も決まっていたそうです。

しじみちゃん、ここはきっと大丈夫だよ。

捕獲器の中では怒ってましたが、里親さん宅初日からめちゃくちゃ食欲もあるので、案外早く慣れてくれるかもしれません。

ひとまず、LINEグループでこまめにやり取りをしながら1ヶ月間のトライアルです。