ある公園で暮らしていた6匹の猫家族と1匹の友達猫は冬から暖かいお家で暮らすことになりました。
その移住をお手伝いさせていただきました。
公園に通われていたボランティアさんたちは全頭に不妊手術を実施し、毎日の給餌をしていました(長い方は30年も!)。餌の与え方も、置きっ放しではなく、食べ終わるまで見守って残ったご飯は片付けていたそうです。
しかし、公園管理事務所には全く理解を示してもらえず、肩身の狭い思いで、迷惑行為だという無知な批判に耐えながら毎日さくら猫のお世話に通っていたそうです。
とうとう我慢の限界がきたボランティアさんたちは公園の近くに、事務所用のひと部屋を借りることを決意。大家さんの許可を得たうえで公園のさくら猫たちの終生の住み処に改装されたそうです。
冷暖房完備の素敵な猫部屋。
昨年の12月に相談を受け、捕獲作戦を実施しましたが、はやり一度捕獲器で捕まっている子達は難しい…。初回で捕まったのは2匹だけでした。残りの子は捕獲器を貸し出しし、少しずつ慣らしていただいて、依頼主さん自身で順次捕獲していただきました。
順調に1匹ずつ保護できていきました。
でも…どうしても捕まらない猫さんが1匹…。
依頼主さんは切り札をきることに。
2回目の捕獲のご相談の場合、仕事を受ける前に紹介させていただいているのが、難しい猫さんの捕獲を専門にお仕事をされているTNRアシストTOKIさん。
(自分に来た依頼ならまず自分でやってみろよ!と言われそうですが、捕獲器で一度捕まった経験のある猫さんの再捕獲はすごく難しいです。私統計ですが、捕獲器で捕まったことのない猫さんの捕獲成功率は83%ですが、2回目の捕獲の成功率は50%しかありません。猫の為にも専門の方を紹介します。)
頭数が多い場合やスグ来て欲しいという依頼主さんの場合は、それでも私に依頼してくださる事も多々あります。今回も頭数が多いのと代理受診をご希望だったので、まずは私がお手伝いさせていただきました。
が、最後の警戒心の強いメス猫さんはもうお手上げです。
そして、依頼主さんがTNRアシストTOKIさんに依頼されました。
そして、見事、サクッと、念願のメス猫さんを捕まえてもらえたのでした!
早朝5時に私は捕まった猫さんをお迎えに現場へ。すると、目的の猫一族ではないけれど、ここ最近ずっと公園に餌を貰いにくる老猫のノラ猫さんが今日も来ているので捕まえてこの子も猫部屋に入れる。と決断され、追加で捕獲しました。この老猫さんは未手術らしくすぐに捕まりました。
私は初回の捕獲と、動物病院の送迎と代理受診を担当しました。早朝に捕まった猫さんが冷えないように暖房をきかせた車内で病院が開くまで待機します。保護するためのひと通りの健康診断と基本処置を終えた猫さんを保護部屋に搬入します。
無事に全頭の保護が完了してよかったです。
今後は、公園に通っていたボランティアさん4名ほどが、公園ではなくこの保護返信に通ってお世話をされるそうです。
すっかりお部屋に慣れてきた猫さんたち。
一件落着ではあるものの、
公園の猫のマネジメントの視点から見ると、公園管理事務所には少し思うことが。
公園の猫たちは、全頭が不妊手術を受けさくら猫になったうえで、数年単位で特定の個体が定着し外部のノラ猫の移入をで防いでいました。また、通うボランティアさんの餌やりも秩序化(決まった時間に決まった場所で決まった猫に給餌する)がある程度できていました。このまま、公園猫サポーター制度にスライドさせることができれば、ノラ猫の苦情要因を最小限に抑えつつ、緩やかに頭数を減らしていくことができた可能性が高かったと思います。ボランティアさんも当初はそれを望んでいました。でも公園管理事務所はあくまで餌やり禁止の姿勢を崩さなかったそうです(私はボランティアさんからのお話しか聞いていないので、管理事務所なりにも言い分があるのかもしれませんが)。
ここに定着していたノラ猫さんとボランティアさんが居なくなった今、おそらく、空いたスペースに別の不妊手術を受けていないノラ猫が移入し(最終日に捕まった老猫さんしかり)、その猫たちのために秩序化されていない不特定多数の餌やりさんが誕生し、1、2年で今現在の頭数と同じかそれ以上になってしまう可能性が高い気がします。
ボランティアさんと定着したさくら猫を手放してしまった公園管理事務所は勿体ない事をしたなぁと思います。
餌やり=猫が増える
という方程式は違うという検証は以前の対人援助学マガジンで紹介しました。詳しくはこちら。
猫が増えるのは、餌をあげるからではなく、不妊手術をしないからです。
あるいは餌のあげ方に問題があるからです。
少しでも、TNRや地域猫活動の理解が広まるといいなと思います。
今回は、依頼主さんをはじめ関わられているボランティアさんたちのパワーと猫への想いに圧倒されました(^^)