S市でTNRのご依頼でした。

かなり人馴れしているメス猫さんと、その子の周りでいつも喧嘩をしているオス2匹が今回のターゲットです。

現場に着いで、驚いたのが以前にTNRをお手伝いさせてもらった現場の真隣でした。

隣の町内は時々あるんですが、2m横はなかなか珍しいです。しかも、私を紹介してくださったのは、真隣の現場の依頼主さんではなく、そこそこ離れた現場のTNRをお手伝いした時の依頼主さんのご近所さんでした。

世間はどう繋がってくるのか分からなくて面白いですね!

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夜、現場に集合するとターゲットのノラ猫さんたちがスタンバイしています。

捕獲器を設置すると、元ボスが入ってくれました。

餌やりさんによると、ずっとボスとしてこの縄張りを張っていたものの、先日他のオスに喧嘩で負けてしまったそうです。

怪我をしているのか捕獲器の中に敷いていた新聞紙にも血がついています…。

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パッと見ただけでも耳の後ろと肘から血が出ていました。

依頼主さんの予算は去勢手術だけ、とはじめから決まっていました。

ですが、この子にとっては今回の動物病院が最初で最後の病院です。

そこで、「お釣りは猫に使ってね基金」から元ボスの怪我の治療費を捻出させていただくことにしました!

のらねこさんの手術室に搬入して、怪我の具合を診てもらうと、耳の後ろ、右肘、左肘、足の裏に穴があいていました。

沢山喧嘩してきたようです。

それぞれ、傷口の洗浄と消毒、2週間持続する抗生剤の注射をしてもらいました。

また、ボスの座を失った元ボスが少しでも穏やかに生きていけるようにワクチンもお願いしました。

「お釣りは猫に使って!」

と言ってくださった皆さま、ありがとうございます。

元ボスさんに使わせていただきました!

去勢手術を終え、通常オスは右耳に手術済みの印として耳カットが入ります。

でも元ボスの右耳は耳ダニで痒く、掻きすぎたのか萎れてしまっていました。そのため、左耳に耳カットが入りました。

頑張って生きてきた元ボス。

やっと、メス争いの喧嘩の土俵から降りることができます。

ボスの生活している場所は、餌争いの喧嘩は不要なので、穏やかな余生が過ごせるといいなと思います。

元ボスリターンの時に、争われていたメス猫さんも無事捕獲してTNRすることができました。

「オスは喧嘩に弱くなるからTNRしたらアカン!」という餌やりさんも居られる現場でした。

猫が喧嘩をする理由は大きく分けて、

「餌」と「メス」です。

去勢手術をすれば喧嘩の理由がひとつ無くなります。

そして、きちんとした餌やりさんがいる現場なら餌争いの喧嘩もほとんどありません。

喧嘩をほとんどしなくなれば、喧嘩に強くいる必要も無くなります。

※そもそも去勢したら喧嘩に弱くなる、というのも根拠ゼロです。去勢の有無に関わらず喧嘩に弱い猫は弱いし、強い猫は強いです。そしてどの猫も加齢とともに喧嘩には弱くなっていきます。

とりあえず、喧嘩に強くあり続けるよりも、喧嘩をしなくてよくなる方がいいんじゃないかな、と私は思います。

それと、未去勢のオスと、手術済みのメスが沢山いるエリアにいる数少ない未手術のメスは、未去勢のオスが集中するため本当に可哀想な状態になってしまいます。

オスのためにも、メスのためにもTNRはオスもメスもバランスよく徹底することが必要だと思います。