スタッフ小池です。

1月19日に衝撃的な内容のお問い合わせLINEが来ました。

「捕獲の相談なのですが、土曜日の朝に自宅敷地内にトラバサミが挟まった子が居ました。土曜日、翌日の日曜日と、捕獲を試みたのですが捕まえることができません。捕獲器を借りて設置してみたのですが、昨日は来なかったようです。いつどこに来るかも分からないのですが、こういった場合でも捕獲をお願いすることはできますでしょうか?」

一緒に送らせてきた写真

左前足をがっつりトラバサミに挟まれています。

基本的にトラバサミの使用は許可が無い限り違法です。

現場は畑も無い住宅街です。故意に猫を狙って仕掛けられた可能性が高いと思いました。

どんなに痛いだろうか・・

すぐに電話をさせてお話しさせていただきましたが、費用のこともあるので、あと数日借りた捕獲器でチャレンジしてみて、ダメなら依頼したいとのことでした。

この時点でトラバサミに挟まれてから少なくとも4日経っていますし、トラバサミをぶら下げた状態で通常タイプの捕獲器にうまく入るのか不安もあったので、

「それなら費用は要りませんので、今晩お伺いしていいですか?」

と提案させていただき、その日の18:30に現場にお伺いすることにしました。

ねこから目線。は完全有料のお手伝い屋さんです。最近同じような内容を書いた気がしますが、こんなことを続けていてはすぐに潰れるかもしれません。

ですが、犯罪に巻き込まれている猫を見て、行ける距離と時間があるのに見て見ぬふりをするくらいなら潰れた方がマシかなと思いました。

現場に到着し、最後に目撃された場所に大きな捕獲器を設置。

あとはひたすら現れるのを待ちます。

と、19時半頃

「ギギギ・・ギギギ・・」

とサビた自転車をひいているような音とともに、トラバサミに挟まれた猫さんが現れたました!

が、タイミング悪く人通りと車通りが重なり、走りさっていってしまいました。

結局、お伺いした初日は梅さんと2ヶ所に分かれ18:30〜翌朝8:30まで徹夜で13時間張り込みましたが、猫さんが再び現れることはありませんでした・・

翌日、翌々日と、他のご依頼が無い時間に張り込み、目撃情報求むのチラシを周辺240件にポスティングしました。

240枚分のチラシのカラー印刷はのらねこさんの手術室さんがご協力くださいました。

なるべく現場に行き、6日間でスタッフ小池と梅本2人合わせた張り込み時間は50時間に達しました。

仕掛けっぱなしのカメラにもターゲットの猫さんは映っていません。

事態が動いたのは、雨が上がり急に暖かくなった7日目のお昼でした。

「トラバサミの子が居ました!」

と相談者さんから連絡が入りました。

梅さんが急いで現場に行くと、猫さんは車に驚いて側溝の方へ逃げていってしまったとのことでした。

周辺の側溝という側溝を片っ端から確認する梅さん。

そして

側溝の奥で身を潜めている猫さんを執念で発見!!

側溝のこの辺りにいるようです。

側溝の場合、途中に水路に繋がる道がある場合が多いので、慌てて両端を封鎖してしまうとかえって逃げられてしまったり、危険な場所へ追い込んでしまう可能性があるので注意が必要です。

小池は某講習を受講中でしたが、切り上げて現場に急行することに。

現場に合流し、溝から猫さんが飛びだした場合、開けた道路よりも家と家の隙間に走り込む可能性が高いので、そこに捕獲器を4台敷き詰めました。

万が一道路側に飛び出してきた時に備え、梅さんは猫用の網を持って待機です。

準備が整ったところで、反対側から徐々に動くよう誘導します。

そして・・

ダッと飛び出した猫さんは一直線に捕獲器ゾーンの中へ!!

無事保護完了です!!

トラバサミに挟まれてから少なくとも9日。

手の状態はかなり悪くなっていました。

すぐに警察が到着し(捕獲前に通報していました)、猫さんの写真を撮影する時にはトラバサミに挟まれていた手先が千切れてしまっていました。

無事保護できて本当に良かったですが、もっと早く保護してあげることができればと悔やまれます。

急いでのらねこさんの手術に搬入しました。

状態としては脱水が酷く、かなり痩せていたため、当日は応急処置として傷口の洗浄と消毒、補液などをしてもらい入院になりまりました。

血塗れの錆びたトラバサミは後日、証拠品として警察に提出しました。

入院から4日後、無事断脚手術も終わりました。

術後はとても良好だそうです。

撫でることはまださせてくれませんが、ちゅーるは食べてくれました!

相談者さんのお家に時々ご飯を食べに来ていた猫さんだったことも分かり、医療費は全額相談者さんがご負担くださっています。

相談者さんがこまめに面会に来てくださり、「カナメくん」という素敵な名前をつけてくれました。

カナメ君、元気になってくれてありがとう。

・・・

カナメ君が保護されて良かったね、めでたし、めでたし。

ではありません。

愛護動物を殺傷することは、動物愛護法違反です。

許可なく緩衝材の無いトラバサミを設置することは、鳥獣保護法違反です。

担当の警察署には何度もお電話させていただき、資料をお渡しし、初めは捜査のしようがないのでトラバサミも受け取れないとの回答でしたが、きちんと証拠品としての受け取りと、周辺への抑止も兼ねた目撃情報を求める看板等の設置をお願いしました。

動物虐待が起きることよりも、動物虐待が事件として取り扱われないこと、社会の中で話題にならないことに大きな不安を感じます。

動物虐待が事件にすらならないから、社会の中で気軽に繰り返されるのではないかと思います。

結果(某メディアさんの力添えもあり)、トラバサミは証拠品として受け取り、調書を取ってくださり、以下のチラシを警察が作成し、該当の地域へ回覧し、警察HPに掲載してくださいました。

後日、カナメ君が入院している病院にも行かれ、事件として動いてくださっています。感謝です。

・・・

今回のカナメ君捕獲にかかった66時間分の人件費と、10往復分の交通費はスタッフ小池と梅本の個人負担としました。

なぜなら、お釣りは猫に使ってね基金は、まだまだ入院中で手術にすらたどり着けていない「とらお君」の医療費の支払いにとっておかねばならないからです。笑

とらお君の記事でも、「寄付をしたい」とコメントしてくださった優しい方がおられましたが、ねこから目線。は有料のお手伝い屋さんであり、ボランティア団体でないので寄付集めはしない方針は今のところ変わりません。

今回、ねこから目線。の2人頑張ったな!と思ってくださった方は、欲しい物リストをちゃっかり公開しますので、チップ代わりに送っていただけたら、経費が浮いて心の中で飛び跳ねて喜びます。笑

ねこから目線。欲しいものリスト